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妄想を書く
ジャッポンのお仕事
つじつま桃太郎
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川上に向かってひたすら子供から逃げていく旧姓八。
子供は目を剥いて必死に旧姓八が甘噛みしている桃を食べたがっている様子で、どんどん旧姓八を追い回します。しかしさすがに見た目3,4歳の子供が到底子犬のすばしっこさにかなうわけもなく、その子供と子犬の距離はどんどん差が開きました。そしてとうとう子供は桃を諦め、おばぁさんの側にまた戻ってきてバタリと倒れました。 おばぁさんはその様子を見て、桃を子供にとられなかったことにまず一安心。しかし、旧姓八が桃をあのようにこの子の強奪から救出したのは、全ては私の支持の下『キャッチ』戦術の一環であって、またしばらくすれば旧姓八はこの子供と同様に私の近くに戻ってくるわけであるけれども、旧姓八を今ここに戻すわけにも行かないし、今、戻ってきたとしてもこの子供がまた『桃!』と叫んで、旧姓八を追い回すかもしれない。いやしかし、この子にそんなスタミナはまずないだろう。川で溺れ疲れきったところに最後の力を振り絞って2本の足が動く限り旧姓八を追っかけていたのだから。 だったら旧姓八は非常に賢いので、もしかすると私が少しばかりこの動けない子供から離れたところにポジションを取れば、ディフェンスを交わすべく私の所へもう一度今日の桃を届けてくれるのではないだろうか。この司令塔め。やってくれるわ旧姓八。よし、ちょっとこいつから少しはなれたところへ行って、それからクァム。旧姓八を呼んでみよ。あぁ腹減った。ももたべたぃ。 「あんたちょっとメシ持ってきたるさかいここで横なっとりぃ」 と子供に嘘800言いつけ、おばぁさんは川の堤防道を上がり、少しばかり川上へ行きました。気持ちもようやく落ち着き子供との距離もストレスがないほどに空いたところでさっそくクァムクァムと子犬を呼びだすのですが全く戻ってくる気配がありません。おばぁさんの心配は時間が経つにつれぼんぼんに膨れ上がりました。持ち逃げ?いやそんなことはない。もしあいつが桃好きなら甘噛みなんていう寸止めみたいな仕打ちは到底出来やせんだろう。となれば、私の声が聞こえていない。いや犬の聴力というのはすさまじいもので人間の聞こえない周波数まで聞き出す耳を持っているからそんな聞こえていないはずがない。となるとあいつが私の所へ戻ってこない理由はただ一つ。わたしの『カム』の発音がネイティブでないからだ。 ということで、おばぁさんは一生懸命子犬を呼ぶために何度も何度も発音を変えながら、子犬を呼び戻そうと必死でした。 「クァム、くぁむくぁむ、クムーンくむぅんくぁむくぁむ。キャミンあぁ旧姓八よ戻って来ておくれてんでクームン。クモン。クオーモン。コモーン、コーウモゥン、危!カムン、噛むん?甘くカムん?お願いだからバックしておくれ。なんで?ホワイ?こんなに戻ってきてくれないなんて、寝耳にウォーター」 とうとう、日が暮れようとしていました。おばぁさんのカムの発音は、完璧になっていました。 それでも子犬が戻ってくることはありませんでした。残ったのは子犬でなく子供。この事態をいかしておじいさんに説明すればよいかわからないおばぁさんは川に戻って大変困惑していました。川に戻って洗濯物を樽に入れ、寝込んでいる子供の様子を見ると、ギッと睨まれて、あはっ。メシを持ってこなかったことをうらんでいるのだと気がつきました。 「でもそれはお互いさまよ。でもあんたこのままじゃ死んじゃうわね仕方ないから今日は私のうちくる?COME?OK!あぁやっぱり戻ってこないのね・・・」 帰路に着きました。子犬の逃亡してしまった事をおじいさんへどうお詫びすればいいか申し訳なくてなかなか帰りたくないおばぁさんの足取りと子供の疲れた足取りは、お互いの歩くペースを知り尽くした長年付き合った二人のような速度。 それだけが心地よかったのですが、お互いの心はまおまおしたまま、とうとう家についてしまいました。 PR |
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